マーケティングのお金は、計画なしに使うときがいちばん無駄になります。このページでは、各プロモーション領域が実際に何のためのものか、自分の状況に応じてどう配分するか、そして予算が正直なところ何をもたらせるのかの見極め方を説明します。
金額より先に目的を決める
まず、このリリースで何を達成したいのかから始めてください。目的が違えば必要な支出も違います。初リリースにたいてい必要なのは発見です。あなたの名前を聞いたことがない人の前に曲を出すこと。カタログが積み上がったあとの新作に必要なのは、多くの場合、既にいる層への呼びかけです。旧譜の掘り起こしはそのどちらも要らないことがあり、メタデータ、アートワーク、プロフィールのリンクを直すほうが効きます。何かを配分する前に、目的を一文で書いてください。はっきり言えないなら、支出を増やしても解決しません。そのお金は次のリリースまで取っておくほうが良い使い方です。
プレイリストとエディトリアルへのピッチ
ピッチとは申請の作業です。各サービスで聴かれ方を組み立てている担当者と仕組みに、リリースを提示します。かかるのは主にお金ではなく時間で、リリース当日よりかなり前に行う必要があります。多くの受付期間は事前に締め切られるからです。ピッチで得られるのは検討であって、掲載ではありません。エディトリアルの判断はプラットフォーム側のもので、各社のルールと要件に従い、その担当チーム以外の誰かが買ったり約束したりできるものではありません。ピッチは予算で規模を広げるチャネルではなく、毎回きちんとやる作業として扱い、1回のピッチへの期待は低く保ってください。
ショート動画とクリエイター施策
発見の多くはショート動画から始まります。ここで効くのは作り込みよりも本数と反復です。実務上の単位はフックです。曲の特定の短い瞬間と、見る理由を組み合わせたものです。ほとんどの投稿は何も起こさず、どれが当たるかを事前に見分けることはできないので、少数ではなく多数を前提に計画してください。自分で作るなら、コストは自分の時間です。編集者や撮影者に頼むなら、1本単位ではなくまとめ単位で見積もってください。リリース前後で少なくとも数週間、安定して出し続けられる分を予算に入れてください。
ペイドメディア
ペイドメディアは、自力では得ていない注目を買うもので、向けた先が何であれそれを増幅します。だからこそ最もお金を無駄にしやすい領域です。まだ効いていないものに出稿しても、無視する人が増えるだけだからです。積み上げられるオーガニックな反応が出てから使ってください。小さくテストし、変える変数は一度に1つにし、少ない予算を多数に散らすのではなく、各テストに結果を読める額を割いてください。始める前に失っても構わない額を決め、そこで止めてください。
クリエイター・インフルエンサーとのコラボ
コラボレーションとは、あなたが届けたい層をすでに持っている人に対価を払う、または組むことです。注目だけでなく信頼と文脈も買う点、そして出来上がるものを自分で制御しにくい点が、ペイドメディアとは違います。届く数より、合っているかどうかが常に勝ちます。フォロワーが少なくても、その層が本当にあなたの音楽と合っているアカウントは、合っていない大きなアカウントを上回りがちです。お金が動く前に、成果物、時期、使用権を書面で合意してください。結果はばらつくものと考え、1件のコラボは計画ではなくテストとして扱ってください。
配分の重みと、ゼロが正解になるとき
初リリースなら、発見のほうに重みを置いてください。ピッチをきちんとやること、ショート動画を継続して出すこと、そして手応えが見えるまでペイドメディアはごく少額かゼロにすること。カタログが積み上がっているならデータがあるので、すでに成果が出ているものを増幅するほうに重みを置き、ペイドメディアとコラボをもっと自信を持って使えます。何も使わないという判断も正当です。曲が仕上がっていない、アートワークが弱い、メタデータが間違っている、キャンペーンを続ける余力がない、といった場合は予算を寝かせてください。お金で結果は買えず、いくら使っても再生数、掲載、露出が保証されることはありません。